大泉こどもおとな歯科診療室

東大泉は知る人ぞ知る水と緑の美しいところです。特に、地名の由来となった井頭池や白子川(旧小井戸川)の周りには湧き水が多く、名水の産地としても知られています。地域には、そうした豊かな水環境を守るための緑地の保全や、散策道としての街並み整備の伝統がありました。
この建物の敷地は、地域の商店街から少し入り込んだ、L型に曲がる目立たない路地の一角にありました。またL型に延びる路地自体も敷地の一部でもありました。そこで、前述した水と緑の繋がりの伝統をその奥まった路地自体にも連続させ、建築自体が潤いある遊歩道計画となるように考えたのです。L型の交点につくった歯科クリニックも、遊歩道の休憩所のような位置づけで考えました。
3階建ての建物は、中央の中庭を囲む輪型の平面としました。上階の住宅のどこからも中庭が見下ろせる計画です。中庭には緑の芝生を敷き、湧き水のアイコンとなる水盤を置きました。周りを囲むように歯科の治療室を配置することで、遊歩道から続いてきた穏やかな憩いの空間が、建築内にも波紋のように広がる計画としました。
こうして地域の地名の由来とそれを保全する街づくりの伝統を、ささやかながら建築に連続させることになりました。
こどもも大人も中庭を囲みながら、水と緑の輪の中で地域とひとつに繋がれば、歯の痛みも和らぐはず。きっと憩いのひと時になることでしょう。

 

UA + 押尾章治


エントランスへのアプローチ


全体外観


建物エントランス


歯科診療所エントランス正面


歯科診療所エントランス


カウンセリングルームより中庭を見る。


住居リビング1


住居リビング2


住居寝室


住居テラス


住居リビング夕景


全体外観夕景

 

所在地:東京都練馬区
竣工:2015
構造:鉄骨造
用途:住宅兼診療所