「ひかりのギャラリー」「 対話のギャラリー」

Faith & Form/IFRAA
International Awards for Religious Art & Architecture 2009
Liturgical/Interior Design Awards

2009年度フェイス&フォーム(信仰とかたち)宗教芸術・建築 国際デザインコンペにおいて応現院の「ひかりのギャラリーと対話のギャラリー」が礼拝/インテリアデザインアワードを受賞しました
Faith & Form

「礼拝」と「鑑賞」の融合を目指した2つのギャラリー(インテリア作品)

プロデュース:迫村裕子 Hiroko Sakomura/S2
設計:押尾章治 Shoji Oshio/UA
照明計画:豊久将三 Shozo Toyohisa/ KILT PLANNING OFFICE

敷地:恒明湧祥之舎応現院/立川市
面積:計982.88m2 (491.44m2 /室)
主用途:礼拝スペース/展示スペース


ひかりのギャラリー内観。ひかりの中に「出山の釈迦像」(伊藤真乗作)が佇んでいる。


対話のギャラリー内観。壁面展示ケースと世界で初めて実現された移動吊下げ式展示ケースが見える。

礼拝と鑑賞.どちらも,目の前にある対象物を通してそれが内に包んでいる大きな世界を想像するという点でよく似ている.仏像を目の前にして祈る.それは経験や知識を超えた存在や力を信頼して,自覚的に自己を委ねていく態度を必要とする.鑑賞でもまったく同じである.どちらも日常生活の延長上にある心象風景との真摯な対話であり,そしてどちらも「ひかり」を媒介に体験される.
ふたつのギャラリーは東京・立川にある仏教教団の寺院内にオープンし た.新しい試みとして,通常は礼拝のために使われるスペースに仏教美術の展示機能をもたせ,一般向けにも公開する.この目的のために,照明家の豊久将三,文化プロデューサーの迫村裕子と私とでチームが組織された.装飾を取り去った抽象的な空間の中に,礼拝と鑑賞という行為を融合させる.これをテーマに,仏教的な空間概念を示す「ひかり」の在り方と,礼拝対象物を展示作品として鑑賞させる繊細な「ひかり」を同時に体験できる空間の実現を試みた.(押尾章治/新建築「住宅特集」200605)

ひかりのギャラリー
大きな門型状のフレームが連続するのを特徴とした展示室である。パネル展示や、さわれる仏像などの親肌性の高い展示、現代美術のインスタレーション等に活用される。門型フレームはその片側にひかりを内蔵し、一方向に連続させることで展示空間に礼拝の向きをつくり出す。突き当たりの壁は光で満たされた球型とすることで遠近感をなくし、この空間が無限に広がるイメージを喚起する。そしてその無限に広がる彼の地に対して、今立っているこの場所からひと続きにつながった床が接続されている。


連続する大きな門型のフレーム。一方向のみに配された光が、「出山の釈迦像」へとつながる。


各種設備機器や照明の器具は、門型フレームの連続によって覆われる。



「出山の釈迦像」背面の球面状の壁面は、LEDの繊細な照射により遠近感をなくしている。光のコントロールにより、様々なシーンの色が表現できる。

LIGHT GALLERY Drawings:

対話のギャラリー
世界で初めての、ガラスのみで吊っている移動式展示ケースをもつ床座の展示室である。繊細なグラスファイバーとLEDのライティングにより、明るさを抑えた室内に仏像が浮かぶ。吊式可動ケースの配置と数を操作することで、鑑賞の輪は様々なフォーメーションが可能となり、曼荼羅に代表されるような多元的な空間概念を立体的に展開した空間が実現できる。


暗闇に浮かぶ仏像彫刻(全て伊藤真乗作)。移動式の展示ケースは様々なフォーメーションが可能である。


一列に配された展示ケース。一番手前は「聖徳太子像」伊藤真乗作。


暗闇に浮かぶ仏像を床座で鑑賞する(/礼拝する)。


移動式展示ケースはガラスのみで吊下げられる。(長さ3.7m)そのケースの一面は上下のヒンジで開閉式となり、作品般出入の安全性も確保されている。写真は手前から「釈迦胸像」「大日如来像」。いずれも伊藤真乗作。


壁面に展示された「真乗の法衣」と、移動式展示ケースの「大日如来像」の重なり。

INTERACTION GALLERY Drawings:

設計:一級建築士事務所UA 担当 押尾章治 伊藤啓二
構造検討:牧野構造計画 担当 牧野里美
施工:アクタス、彩気 担当 塩澤秀樹 荒井俊和